New Relic Synthetics 監視とは - Webサイトとアプリケーションの予防的監視技術
New Relic Syntheticsは、実際のユーザーがアクセスする前にWebサイトやアプリケーションの動作を確認できる予防的監視技術です。従来のインフラ監視やアプリケーション監視とは異なり、ユーザー視点でのサービス品質を継続的に測定します。
Syntheticsとは何か
Syntheticsは「合成監視」と呼ばれる監視手法で、実際のユーザートラフィックではなく、自動化されたテストスクリプトでサービスの可用性とパフォーマンスを測定します。24時間365日、設定した間隔でWebサイトやAPIにアクセスし、レスポンス時間、機能の動作、エラーの発生を検出します。
この監視方法では、ユーザーが問題を報告する前に障害を発見できるため、サービス品質の維持に大きな効果があります。実際のユーザー体験に近い条件でテストを実行するため、インフラが正常に動作していても発生するアプリケーションレベルの問題も検出できます。
従来の監視手法との違い
従来のインフラ監視では、サーバーのCPU使用率やメモリ使用量、ネットワークトラフィックなどの技術的指標を監視していました。一方、Synthetics監視はエンドユーザーの視点から監視を行います。
例えば、サーバーが正常に動作していても、Webアプリケーションのログイン機能に不具合があれば、ユーザーはサービスを利用できません。インフラ監視だけでは検出が困難なこのような問題も、Syntheticsなら確実に発見できます。
また、Real User Monitoring(RUM)と呼ばれる実ユーザー監視と比較すると、Syntheticsは事前に定義されたシナリオを継続的に実行するため、問題の早期発見に優れています。RUMは実際のユーザーがアクセスしないと監視データが得られませんが、Syntheticsは常にサービスの状態を把握できます。
New Relic Syntheticsの主要機能
New Relic Syntheticsでは、複数の監視タイプを組み合わせて包括的な監視を実現します。
シンプルブラウザ監視では、指定したURLに対して基本的なHTTPリクエストを送信し、レスポンス時間とステータスコードを確認します。設定が簡単で、Webサイトの基本的な可用性確認に適しています。
スクリプトブラウザ監視では、実際のブラウザを使用して複雑なユーザージャーニーを模擬します。ログイン、フォーム入力、ページ遷移など、複数のステップを含む操作を自動化できます。
API監視では、REST APIやGraphQL APIの動作を確認します。レスポンスデータの検証、認証処理、エラーハンドリングまで詳細に監視できます。
適用場面とユースケース
Syntheticsは特にビジネスクリティカルなWebサービスの監視に効果的です。ECサイトの決済機能、会員システムのログイン機能、SaaSアプリケーションの主要機能など、障害時の影響が大きい部分を重点的に監視できます。
また、複数の地域からアクセスして地理的なパフォーマンス差を測定したり、サードパーティサービスとの連携部分を監視したりする用途にも適用できます。
開発チームにとっては、本番環境での継続的な品質検証ツールとして活用でき、運用チームにとっては障害の早期発見と迅速な対応を支援するツールとなります。
New Relic Syntheticsを導入することで、ユーザー体験の向上とサービス品質の維持を両立できる監視システムを構築できます。
このセクションの記事一覧
以下はSynthetics監視に関する記事の完全なリストです。効果的な学習のための推奨順序で配置しています。
基礎知識
- Synthetics概要 - New Relic Syntheticsの概要と予防的監視技術の基本概念
基本的な監視設定
- シンプルブラウザ監視 - 基本的なWebサイト可用性監視の設定方法
- API監視設定 - REST API およびGraphQL API の監視設定
高度な監視実装
- スクリプトブラウザ監視 - 複雑なユーザージャーニーを模擬した高度な監視設定
Synthetics監視を効果的に活用するためには、適切なアラート設定、監視データの可視化、他の監視手法との連携が重要です。インフラ監視、APM監視、ログ監視と組み合わせることで、包括的なシステム監視を実現できます。
関連記事: シンプルブラウザ監視の設定方法関連記事: スクリプトブラウザ監視の実装関連記事: API監視の設定方法関連記事: インフラ監視概要関連記事: APM監視概要関連記事: ログ監視概要