New Relic シンプルブラウザ監視 - 基本的なWebサイト可用性監視の設定方法

シンプルブラウザ監視は、New Relic Syntheticsの中で最も基本的な監視機能です。指定したURLに対して定期的にHTTPリクエストを送信し、Webサイトの可用性とパフォーマンスを継続的に監視します。設定が簡単で、Webサイトの基本的な稼働状況確認に最適です。

シンプルブラウザ監視とは

シンプルブラウザ監視では、実際のWebブラウザを使用してWebページにアクセスし、ページの読み込み時間やレスポンスの成功・失敗を測定します。単純なHTTP pingテストとは異なり、CSSやJavaScriptファイルの読み込みも含めた実際のブラウザ体験に近い測定ができます。

この監視方法では、Webサイトの基本的な可用性確認だけでなく、ページ読み込みパフォーマンスの継続的な測定も可能です。また、世界各地の複数の監視拠点から同時に監視することで、地理的なパフォーマンス差も把握できます。

設定が簡単で運用負荷が低いため、Webサイト監視の入門としても適しています。複雑なユーザー操作は含まれませんが、多くのWebサイトでは十分な監視カバレッジを提供できます。

監視設定の手順

New Relicダッシュボードの左側メニューから**「Synthetic monitoring」をクリックし、画面右上の「Create monitor」ボタンを選択します。監視タイプ選択画面で「Simple browser」**タイルをクリックすると、基本設定画面が表示されます。

基本設定では、以下の項目を入力します:

  • **「Monitor name」**フィールド:分かりやすい監視名を入力
  • **「URL」**フィールド:監視対象のURLを入力(https://example.com形式
  • **「Frequency」**ドロップダウン:監視頻度を1分、5分、10分、15分、30分、1時間から選択
  • **「Enable screenshot on failure」**チェックボックス:障害時のスクリーンショット保存を有効化

監視拠点の選択では、**「Locations」セクションで世界各地の監視ポイントから選択します。「Tokyo, JP」「Singapore, SG」は日本ユーザー向け、「Virginia, US」「London, GB」**はグローバルサービス向けに適しています。

高度な設定では、**「Advanced options」**を展開して以下を設定できます:

  • **「Request headers」**セクション:カスタムHTTPヘッダーの追加
  • **「Authentication」**セクション:Basic認証の場合はユーザー名とパスワードを入力
  • 「Response validation」:特定のテキストが含まれているかの検証設定
  • 「Request timeout」:タイムアウト時間の調整(デフォルト60秒)

レスポンス時間と可用性の測定

シンプルブラウザ監視では、複数の重要な指標を測定します。

レスポンス時間は、HTTPリクエストの送信からページ表示完了までの時間を測定します。この時間にはDNS解決、TCP接続確立、HTTPリクエスト処理、レスポンス受信、ページ描画まで全ての処理が含まれます。

可用性は、監視リクエストが成功した割合を示します。HTTPステータスコード200番台のレスポンスを成功とし、4xx、5xxエラーやタイムアウトを失敗として計算します。

ダウンタイムは、連続して監視に失敗した期間を記録します。短時間の一時的な障害と長時間の深刻な障害を区別して把握できます。

これらの指標は時系列グラフで可視化され、日時、週次、月次のトレンド分析も可能です。パフォーマンスの劣化や可用性の低下を早期に発見できます。

アラート設定とレポート機能

監視結果に基づいて自動的にアラートを発信する機能があります。

アラート条件の設定では、レスポンス時間の閾値、失敗率の上限、連続失敗回数などを指定できます。例えば「レスポンス時間が5秒を超過」「失敗率が10%を上回る」「3回連続で監視に失敗」などの条件を設定します。

通知方法では、メール、Slack、PagerDuty、Webhookなど複数のチャネルを選択できます。緊急度に応じて通知先を使い分けることで、効率的な障害対応体制を構築できます。

レポート機能では、監視結果の定期レポートを自動生成できます。週次や月次のサービス稼働率レポート、パフォーマンストレンドレポートなどをステークホルダーに共有できます。

また、ダッシュボード機能を使用して、複数の監視結果を一覧表示することも可能です。組織全体のWebサービス稼働状況を一目で把握できます。

実運用での活用方法

シンプルブラウザ監視を効果的に活用するためのベストプラクティスがあります。

段階的な導入では、最も重要なページから監視を開始し、徐々に監視対象を拡大します。トップページ、ログインページ、主要な機能ページを優先的に監視します。

監視頻度の最適化では、サービスの重要度と運用負荷のバランスを考慮します。ビジネスクリティカルなサービスは1-5分間隔、一般的なコンテンツサイトは15-30分間隔が適切です。

他の監視手法との組み合わせでは、インフラ監視、APM、ログ監視と連携することで、障害の根本原因を素早く特定できます。

シンプルブラウザ監視は設定が簡単でありながら、Webサイトの基本的な監視要件を満たす実用的な機能です。継続的な監視により、ユーザー体験の品質維持に大きく貢献します。

監視データをより深く分析するためには、NRQLクエリの活用やカスタムダッシュボードの作成、適切なアラート設定との組み合わせが効果的です。


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