New Relicトラブルシューティング概要 - 問題解決と最適化ガイド

監視ツールの運用では、必ずと言っていいほど様々な問題に遭遇します。New Relicも例外ではありません。しかし、よくある問題のパターンを知って、正しい手順で対処すれば、多くの問題は迅速に解決できるんです。

ここでは、New Relicでよく発生する問題の診断方法から、パフォーマンス最適化のコツまで、実際の運用で役立つ知識をお伝えします。トラブルシューティングのスキルが身につくと、問題が起きても慌てずに対処でき、さらには問題を未然に防ぐことも可能になります。

トラブルシューティングの基本方針

問題解決の基本的な流れ

トラブルシューティングで大切なのは、順序立てて進めることです。まず症状をしっかり把握し、考えられる原因を洗い出し、実際に検証して、解決策を試し、最後に効果を確認する。この5つのステップを踏むことで、確実に問題を解決できます。

勘に頼った対応ではなく、データを見ながら論理的に分析していくことが重要です。そうすれば根本的な原因を見つけられ、同じ問題の再発も防げるでしょう。

ログとメトリクスの見方

New Relicには問題解決に役立つ情報がたくさん記録されています。エージェントのログ、プラットフォームのイベント、カスタムメトリクスなどを見ることで、何が起きているかを正確に把握できます。

時間の流れに沿ってデータを見ていくと、問題がいつ発生しやすいか、どんな条件で起きるかといったパターンも見えてきます。

よくある問題と解決パターン

データ送信に関する問題

「データが表示されない」は、New Relicを使い始めたときに最もよく出会う問題です。ネットワークの接続、認証の設定、エージェントの設定、ファイアウォールの設定など、いくつかの原因が考えられるので、一つずつ確認していくことが大切です。

会社のネットワーク環境では、プロキシサーバーやセキュリティ設定、DNS設定なども影響することがあります。環境に合わせて幅広く確認していきましょう。

パフォーマンスと精度のバランス

監視を細かくしすぎると、システムに負荷がかかったり、コストが上がったりします。ビジネスで本当に必要な情報と技術的な制約を考えながら、ちょうど良い設定を見つけることが大切です。

サンプリングの頻度、データを保存する期間、集約のレベルなどを調整して、組織にとって最適な監視環境を作り上げていきます。

エージェント固有の問題

Infrastructure Agentの一般的な問題

Infrastructure Agentでよくある問題は、権限の設定ミス、システムリソースの不足、設定ファイルの記述ミスなどです。Linux、Windows、Dockerなど、使っている環境によって特有の問題もあるので、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

エージェント自体が正常に動作しているかも定期的にチェックしましょう。ログの管理、メモリやCPUの使用量を見ておくと安心です。

APMエージェントのパフォーマンス調整

APMエージェントはアプリケーションの動作に直接関わるので、設定には特に注意が必要です。どこまで詳細に追跡するか、どんなエラーを収集するか、カスタムメトリクスをどの程度の頻度で取得するかなど、アプリケーションの特徴に合わせて調整していきます。

本番環境で長期間使うことを考えて、メモリリークやガベージコレクションへの影響、データベース接続への影響なども慎重に検討する必要があります。

ネットワークと接続の問題

プロキシとファイアウォール設定

会社のネットワークでは、プロキシサーバーやファイアウォールがNew Relicとの通信を妨げることがあります。どのエンドポイントにアクセスする必要があるか、どのポートを使うかなどを整理して、セキュリティ担当者と相談しながら設定を進めましょう。

証明書の確認、SSL/TLSの設定、認証プロキシの設定など、セキュリティの要件も満たしながら通信を確保する必要があります。

地理的要因とレイテンシ

グローバルに展開するシステムでは、地理的距離による通信レイテンシが問題となる場合があります。データセンターの選択、CDNの活用、ローカルキャッシングなどの対策により、パフォーマンスを最適化します。

スケールと容量計画

大規模環境での最適化

何千台ものサーバーや何百ものアプリケーションを監視する大きな環境では、特別な課題が出てきます。大量のデータをどう管理するか、ネットワーク帯域をどう効率的に使うか、コストをどう抑えるかなど、規模に応じた戦略が必要になります。

監視を階層化して設計したり、重要度に応じてメトリクスを選択したり、データを効率的に集約したりして、拡張性のある監視環境を作っていきます。

容量計画とコスト最適化

New Relicのコストは、取り込むデータ量や使う機能に応じて変わります。限られた予算の中で最大の効果を得るために、定期的に使用量をチェックして、不要なデータを削除したり、アラートを効率的に設計したりする最適化が大切です。

投資対効果を分析して、監視にかける費用がどれだけの価値を生んでいるかを測定し、継続的に改善していきましょう。

継続的な改善プロセス

パフォーマンス監視とチューニング

New Relic自体がちゃんと動いているかも監視しておくことが大切です。エージェントの応答速度、データ送信の成功率、クエリの処理速度などを定期的にチェックして、必要に応じて調整を行います。

ベンチマークを決めて、定期的に性能を評価し、改善策がどの程度効果があったかを測定することで、長期にわたって高性能な監視環境を維持できます。

予防保全とプロアクティブ対応

問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きる前に予防する取り組みが大切です。

定期的な健康チェック、設定の見直し、新機能の検討など、継続的な改善を組織の習慣として定着させることが重要になります。

このセクションの記事一覧

以下はNew Relicトラブルシューティングに関する記事の完全なリストです。効果的な問題解決のための推奨順序で配置しています。

基本的な問題解決

エージェント固有の問題

最適化と高度な対応

サポートとリソース

まとめ

トラブルシューティングのスキルを身につけることは、New Relicを長期的に有効活用するために欠かせません。順序立てた問題解決、予防的なメンテナンス、継続的な学習を通じて、安定して高性能な監視環境を保つことができます。

問題が起きても慌てず、順序立てて原因を探り、根本的で持続可能な解決策を見つけることを心がけましょう。こうしたスキルは、組織全体の監視レベル向上にも大きく貢献するはずです。


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