New Relic 一般的な問題と解決法 - トラブルシューティングの基本
New Relicを導入・運用していると、様々な問題に遭遇する可能性があります。しかし、多くの問題は既知のパターンであり、適切な手順で対処すれば迅速に解決できます。本記事では、New Relicでよく発生する問題とその解決方法を体系的に解説し、効率的なトラブルシューティングをサポートします。
トラブルシューティングの基本アプローチ
問題特定の手順
New Relicで問題が発生した際は、まず症状を正確に把握することが重要です。データが表示されない、パフォーマンスが遅い、アラートが作動しないなど、具体的な現象を記録しましょう。
次に、問題の発生タイミングを確認します。最近の設定変更、アプリケーションのデプロイメント、インフラストラクチャの変更などが問題の原因となっている可能性があります。
エラーログの確認も欠かせません。New Relicエージェントのログ、アプリケーションログ、システムログを順次確認し、エラーメッセージや警告を記録します。
効果的な情報収集
問題解決には適切な情報収集が不可欠です。環境情報(OS、アプリケーションバージョン、エージェントバージョン)、設定ファイルの内容、ネットワーク構成などを整理して記録しておきましょう。
スクリーンショットやエラーメッセージのコピーも重要な情報源となります。問題の再現手順を詳細に記録することで、原因特定が効率化されます。
導入時によくある問題
API Keyの設定に関する問題
最も一般的な問題の一つが、API Keyの設定ミスです。無効なライセンスキー、期限切れのキー、権限不足のキーが原因で、エージェントがNew Relicプラットフォームに接続できないケースがあります。
この問題の解決には、まずNew RelicアカウントでAPI Keyの有効性を確認します。アカウント設定画面からキーの状態をチェックし、必要に応じて新しいキーを生成します。
設定ファイルでキーが正しく記述されているかも重要なポイントです。特に、環境変数で設定している場合は、大文字小文字や特殊文字の扱いに注意が必要です。
エージェントインストールの問題
エージェントのインストール失敗も頻繁に発生する問題です。パッケージマネージャーの設定不備、権限不足、依存関係の問題などが主な原因となります。
Linux環境では、リポジトリの設定とGPGキーの追加が正しく行われているか確認しましょう。Windowsでは、管理者権限での実行とWindows Defenderなどのセキュリティソフトウェアの除外設定が重要です。
Dockerコンテナでの実行時は、ベースイメージの選択と必要なライブラリの包含に注意を払う必要があります。
ネットワーク接続の問題
ファイアウォールやプロキシ設定により、エージェントがNew Relicサーバーに接続できない場合があります。New Relicが使用するドメインとポートを許可リストに追加する必要があります。
企業環境では、プロキシサーバー経由での接続が必要になることが多く、プロキシ設定の詳細な確認が求められます。SSL/TLS証明書の検証に関する設定も確認すべき項目です。
データ収集に関する問題
メトリクス収集の不具合
一部のメトリクスが収集されない場合、エージェントの設定やアプリケーションの実装に問題がある可能性があります。設定ファイルで監視対象が正しく指定されているか、必要な権限が付与されているかを確認しましょう。
APMの場合、アプリケーションコードでエージェントが適切に初期化されているか、必要なモジュールがインポートされているかを検証します。カスタムメトリクスの場合は、送信間隔と量の制限に注意が必要です。
パフォーマンスデータの欠落
パフォーマンスデータが間欠的に欠落する場合、リソース不足やネットワークの不安定性が原因となることがあります。エージェントのメモリ使用量とCPU使用量を監視し、適切なリソースが確保されているかを確認します。
高負荷環境では、サンプリング設定の調整により、データ収集の効率化を図ることが効果的です。また、バッチ処理の設定を最適化することで、安定したデータ送信を実現できます。
カスタムイベントの問題
カスタムイベントが正しく記録されない場合、イベントの構造やデータ型に問題がある可能性があります。New Relicでは、イベント名や属性名に使用できる文字に制限があり、これらのルールを遵守する必要があります。
イベントのサイズ制限や送信頻度の制限にも注意を払いましょう。大きなイベントや頻繁な送信は、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。
ダッシュボードと表示の問題
データ表示の遅延
ダッシュボードでのデータ表示に遅延が発生する場合、クエリの複雑さやデータ量が原因となることがあります。NRQLクエリの最適化により、表示速度を改善できる場合があります。
時間範囲の設定も重要な要素です。長期間のデータを一度に表示しようとすると、処理時間が増加します。適切な時間窓の設定により、必要な情報を効率的に表示できます。
グラフ表示の異常
グラフに異常な値やギャップが表示される場合、データ収集の設定やタイムゾーンの設定を確認しましょう。特に、サマータイム切り替え時期には、時刻関連の問題が発生する可能性があります。
単位の設定や集計方法の設定も、グラフ表示に影響を与える重要な要素です。適切な設定により、意味のある視覚化を実現できます。
アラート関連の問題
アラート通知の不具合
アラートが期待通りに発動しない場合、条件設定と閾値の確認が必要です。アラート条件が適切に定義されているか、評価期間と閾値が実際の状況に適合しているかを検証します。
通知チャネルの設定も重要なポイントです。メールアドレス、Slack設定、Webhookエンドポイントなどが正しく構成されているかを確認しましょう。
誤報の対処
頻繁な誤報は、閾値設定が不適切であることを示している可能性があります。ベースライン機能を活用して、動的な閾値設定を検討することで、より精度の高いアラートを実現できます。
ノイズフィルタリングやアラートの遅延設定により、一時的な変動による誤報を減らすことも効果的です。
パフォーマンス問題への対処
エージェントのオーバーヘッド
エージェントが本番システムに与える影響を最小限に抑えるため、設定の最適化が重要です。サンプリング率の調整、不要な機能の無効化、ログレベルの適切な設定などにより、オーバーヘッドを削減できます。
大量データ処理の最適化
大規模環境では、データ送信量とAPIリミットに注意を払う必要があります。データの集約、フィルタリング、バッチ処理の最適化により、効率的な監視を実現できます。
まとめ
New Relicでよく発生する問題の多くは、基本的な設定確認と体系的なアプローチにより解決できます。問題が発生した際は、慌てずに段階的に原因を特定し、適切な対処法を適用することが重要です。
定期的な設定レビューと予防的なメンテナンスにより、多くの問題を未然に防ぐことができます。次回は、より詳細なエージェント固有のトラブルシューティングについて解説します。
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