New Relic 15分クイックスタートガイド - 最速で監視を開始する方法

New Relicアカウントの準備が完了したら、実際に監視を開始してみましょう。このガイドでは、15分という短時間で基本的な監視環境を構築し、New Relicの価値を体感できる手順を段階的に解説します。監視の第一歩から実用的なダッシュボードの確認まで、実践的なアプローチで進めていきます。

15分クイックスタートの全体像

このクイックスタートでは、以下のタイムラインで進行します。

  • 0-2分: アカウント確認と監視対象の選択
  • 2-8分: 最初のエージェントインストール
  • 8-12分: データの確認とダッシュボード表示
  • 12-15分: 基本的なナビゲーションと次のステップ設定

最も効果的な学習効果を得るため、実際に監視したいアプリケーションやサーバーがある環境で実施することを推奨します。テスト環境でも構いませんが、実際のワークロードがある方がNew Relicの真価を理解しやすくなります。

ステップ1: アカウント確認と監視対象の選択(2分)

アカウントアクセスの確認

まず、New Relicダッシュボードにログインし、アカウントが正常に動作していることを確認します。メインダッシュボードには「Add Data」ボタンが表示されており、ここから様々な監視オプションにアクセスできます。

右上のアカウント設定メニューから、APIキーが正しく設定されていることも確認しておきましょう。特に、Ingest APIキー(ライセンスキー)が生成されていることが重要です。

最初の監視対象の選択

初回の監視対象として、以下の3つのオプションから選択します。

Webアプリケーション監視は、Node.js、Python、Java、Ruby、PHP、.NET、Goなどで開発されたアプリケーションを対象とします。実際のリクエストを処理しているアプリケーションがある場合、最も価値の高い監視データを得られます。

インフラストラクチャ監視は、Linux、Windows、macOSサーバーを対象とします。セットアップが最も簡単で、すぐに結果を確認できるため、初心者に最適です。

ブラウザ監視は、既存のWebサイトに数行のJavaScriptコードを追加するだけで開始でき、ユーザー体験の監視を手軽に始められます。

今回は、最もセットアップが簡単なインフラストラクチャ監視から始めることを推奨します。

ステップ2: インフラストラクチャエージェントのインストール(5-8分)

🎆 推奨: Guided Install(最簡単・最速)

2025年現在、Guided Installが最も推奨されるインストール方法です。この方法は、環境を自動検出し、最適なエージェントと設定を自動でインストールします。

Guided Installの手順

  1. New Relicダッシュボードで「Add Data」をクリック
  2. 「Guided Install」を選択(トップに表示される推奨オプション)
  3. 提供されたコマンドをターミナルで実行

Linux/macOS用コマンド例

bash
curl -Ls https://download.newrelic.com/install/newrelic-cli/scripts/install.sh | bash && sudo NEW_RELIC_API_KEY=YOUR_INGEST_KEY NEW_RELIC_ACCOUNT_ID=YOUR_ACCOUNT_ID /usr/local/bin/newrelic install

手動インストール(代替手段)

特定の理由でGuided Installを使用できない場合は、手動インストールも利用可能です。

Linux環境での手動インストール

Ubuntu/Debianの場合、以下のコマンドでNew Relic CLIとインフラストラクチャエージェントをインストールします。

Windows環境でのインストール

Windows用Guided Install(推奨): WindowsでもGuided Installが利用可能で、PowerShellで以下のコマンドを実行します。

powershell
irm https://download.newrelic.com/install/newrelic-cli/scripts/install.ps1 | iex

手動インストールの場合: PowerShellを管理者権限で開き、以下の手順で進めます。

ステップ 1: 実行ポリシーの確認と一時変更

powershell
# 現在のポリシーを確認
Get-ExecutionPolicy

# 一時的に変更(必要な場合のみ)
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser

ステップ 2: New Relic CLIインストール

powershell
[Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = 'tls12, tls'
(New-Object System.Net.WebClient).DownloadFile("https://download.newrelic.com/install/newrelic-cli/scripts/install.ps1", "$env:TEMP\install.ps1")
& PowerShell.exe -ExecutionPolicy Bypass -File $env:TEMP\install.ps1

ステップ 3: セキュリティ設定の復元(重要)

powershell
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy Restricted -Scope CurrentUser

ステップ 4: 対話式インストーラーの実行 New Relicインストーラーが自動起動し、環境検出と設定を対話式で進められます。

インストール確認とデータ表示

Guided Installの場合、エージェントのインストールが成功すると、約60秒以内にNew Relicダッシュボードにデータが表示され始めます。

データ表示の確認手順

  1. New Relicダッシュボードにアクセス
  2. ナビゲーションから「Infrastructure」を選択
  3. 「Hosts」タブで新しいホストが表示されることを確認
  4. ホスト名をクリックして詳細メトリクスを確認

トラブルシューティング

  • データが表示されない場合: 5分程度待ってからブラウザを更新
  • エージェントステータスの確認: Linuxの場合 systemctl status newrelic-infra
  • ログの確認: /var/log/newrelic-infra/ ディレクトリ内のログファイルを確認

ステップ3: データ確認とダッシュボード表示(3-4分)

基本メトリクスの確認

インフラストラクチャ監視が開始されると、以下の基本メトリクスが自動的に収集されます。

CPU使用率では、システム全体とプロセス別のCPU使用率をリアルタイムで確認できます。負荷の高いプロセスは自動的に識別され、パフォーマンスのボトルネックを早期に発見できます。

メモリ使用量では、物理メモリとスワップ領域の使用状況が表示されます。メモリリークやメモリ不足の兆候を監視し、システムの安定性を評価できます。

ディスクI/Oでは、読み取り・書き込み操作の頻度と転送量が監視されます。ストレージのパフォーマンスボトルネックや容量の問題を事前に検知できます。

ネットワーク活動では、ネットワークインターフェースの送受信トラフィックが追跡されます。異常なネットワーク活動や帯域幅の使用パターンを分析できます。

デフォルトダッシュボードの活用

New Relicはインフラストラクチャ監視開始と同時に、即座に使用可能な包括的ダッシュボードを自動生成します。

主要なビューと機能

Hostsビュー

  • 監視対象サーバーの一覧表示
  • 健全性ステータスの色分け表示(🟢緑:正常、🟡黄:注意、🔴赤:異常)
  • ワンクリックで詳細メトリクスへアクセス

Processesビュー

  • プロセス別CPU/メモリ使用率のリアルタイム表示
  • リソース大量消費プロセスの自動特定
  • プロセスパフォーマンストレンドの分析

Storageビュー

  • ディスク使用率と容量監視
  • 読み取り/書き込みI/Oパフォーマンス
  • ストレージ関連アラートの事前検知

アラート設定の準備

基本的な監視が開始されたら、重要なメトリクスに対するアラートを設定します。

CPU使用率が80%を超えた場合、メモリ使用率が90%を超えた場合、ディスク使用率が85%を超えた場合など、一般的な閾値でアラートポリシーを作成します。

通知方法として、メール、Slack、PagerDutyなどの統合を設定し、問題が発生した際の迅速な対応体制を構築します。

ステップ4: 基本ナビゲーションと次のステップ(2-3分)

New Relic UIの基本構造

New Relicの主要ナビゲーション要素を理解することで、効率的にプラットフォームを活用できます。

Explorerは、監視されている全てのエンティティ(アプリケーション、ホスト、サービスなど)を統合的に表示するハブです。システム全体の健全性を一目で把握し、問題のあるコンポーネントを迅速に特定できます。

Dashboardsでは、カスタムダッシュボードの作成と管理を行います。ビジネス要件に応じて、重要なメトリクスを組み合わせた専用ビューを構築できます。

Alertsでは、アラートポリシーと通知設定を管理します。予防的な監視体制を構築し、問題が顧客に影響を与える前に対処できるようになります。

Query Your Dataでは、NRQL(New Relic Query Language)を使用して、収集されたデータに対するカスタムクエリを実行できます。高度な分析と詳細な調査が可能になります。

次の監視領域の追加

インフラストラクチャ監視が正常に動作していることを確認したら、追加の監視領域を段階的に拡張していきます。

APM監視では、Webアプリケーションやバックエンドサービスのパフォーマンスを詳細に追跡します。データベースクエリの最適化や、アプリケーションコードのボトルネック特定に役立ちます。

ブラウザ監視では、エンドユーザーの実際の体験を測定し、フロントエンドのパフォーマンス改善に活用できます。Core Web Vitalsなどの重要な指標を継続的に監視できます。

ログ監視では、アプリケーションとインフラストラクチャのログを一元的に管理し、パフォーマンスデータと関連付けた分析が可能になります。

学習リソースと次のステップ

New Relicの効果的な活用には、継続的な学習と実践が重要です。

公式ドキュメントとチュートリアルを活用し、各監視領域の詳細な設定方法を学習します。New Relic Universityでは、無料のオンライン学習コースが提供されています。

コミュニティフォーラムやユーザーグループでは、他のユーザーの実践事例や課題解決方法を学べます。実際の運用で遭遇する問題への対処法や、ベストプラクティスの共有が活発に行われています。

段階的な拡張計画を立て、週単位で新しい監視機能や設定を追加していくことで、包括的な監視環境を構築できます。

トラブルシューティング

よくある問題と解決方法

一般的なトラブルシューティング

データが表示されない場合

  1. APIキー確認: 「NRAK-」で始まる正しいIngest APIキーが設定されているか確認
  2. ネットワーク接続: HTTPSアウトバウンド通信(443ポート)が可能か確認
  3. ログ確認: /var/log/newrelic-infra/newrelic-infra.logでエラーをチェック

エージェントが起動しない場合

  1. サービス状態確認: systemctl status newrelic-infra(Linux)
  2. ファイアウォール設定: New Relicエンドポイントへのアクセスを許可
  3. 手動再起動: sudo systemctl restart newrelic-infra

パフォーマンスへの影響が懸念される場合

  • New Relicインフラエージェントは軽量設計で、通常はCPU使用率の1%未満
  • サンプリング頻度の調整や特定メトリクスの無効化が可能

サポートリソース

技術的な問題が発生した場合は、New Relicサポートチームに相談できます。詳細なログ情報と環境情報を準備しておくことで、迅速な問題解決が期待できます。

まとめ

15分間のクイックスタートにより、New Relicの基本的な監視機能を体験できました。インフラストラクチャ監視から始めることで、システムの可視性が大幅に向上し、パフォーマンスの問題を予防的に検知できるようになりました。

この基盤の上に、APM監視、ブラウザ監視、ログ管理などの追加機能を段階的に構築していくことで、包括的なオブザーバビリティ環境を実現できます。継続的な学習と実践により、New Relicを最大限に活用し、システムの信頼性とパフォーマンスを向上させていきましょう。


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