Linux環境でのNew Relic Infrastructure Agent導入
はじめに
Linux環境でのNew Relic Infrastructure Agent導入は、主要なディストリビューションに対応したパッケージマネージャーを使用することで、効率的かつ安全に実行できます。本記事では、Ubuntu、CentOS、RHEL、SUSEでの具体的なインストール手順を詳しく解説します。
環境に応じた適切なインストール方法を選択することで、安定したインフラ監視環境を構築できるでしょう。また、インストール後の基本設定やトラブルシューティングについても併せて説明します。
事前準備
システム要件の確認
Infrastructure Agentを導入する前に、システムが以下の要件を満たしていることを確認してください。
対応OS
- Ubuntu 16.04以降
- CentOS 7以降
- RHEL 7以降
- SUSE Linux Enterprise Server 12以降
- Amazon Linux 2
- Debian 9以降
ハードウェア要件
- CPU: 1コア以上
- メモリ: 512MB以上
- ディスク容量: 50MB以上の空き容量
- ネットワーク: HTTPS通信(443ポート)が可能
New Relicライセンスキーの準備
Infrastructure Agentの設定には、New Relicライセンスキーが必要です。このキーは、New Relicダッシュボードの「API Keys」セクションから取得できます。インストール作業を開始する前に、必ずライセンスキーを準備しておきましょう。
Ubuntu/Debianでのインストール
パッケージリポジトリの追加
まず、New RelicのAPTリポジトリをシステムに追加します。これにより、パッケージマネージャーを使用したインストールと自動更新が可能になります。
# GPG keyの追加
curl -fsSL https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/gpg/newrelic-infra.gpg | sudo apt-key add -
# リポジトリの追加
echo "deb https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/linux/apt $(lsb_release -cs) main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/newrelic-infra.list
# パッケージリストの更新
sudo apt-get update
エージェントのインストール
リポジトリの追加が完了したら、Infrastructure Agentをインストールします。
# Infrastructure Agentのインストール
sudo apt-get install newrelic-infra
# サービスの自動起動設定
sudo systemctl enable newrelic-infra
CentOS/RHEL/Amazon Linuxでのインストール
YUMリポジトリの設定
Red Hat系ディストリビューションでは、YUMリポジトリを設定してからインストールを実行します。
# GPG keyの追加
sudo rpm --import https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/gpg/newrelic-infra.gpg
# リポジトリファイルの作成
sudo tee /etc/yum.repos.d/newrelic-infra.repo > /dev/null <<EOF
[newrelic-infra]
name=New Relic Infrastructure
baseurl=https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/linux/yum/el/\$releasever/\$basearch
enabled=1
gpgcheck=1
gpgkey=https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/gpg/newrelic-infra.gpg
EOF
エージェントのインストール
リポジトリ設定後、以下のコマンドでインストールを実行します。
# Infrastructure Agentのインストール
sudo yum install newrelic-infra
# サービスの自動起動設定
sudo systemctl enable newrelic-infra
SUSE Linux Enterpriseでのインストール
ZYPPERリポジトリの設定
SUSE環境では、ZYPPERパッケージマネージャーを使用します。
# GPG keyの追加
sudo rpm --import https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/gpg/newrelic-infra.gpg
# リポジトリの追加
sudo zypper addrepo -f -G https://download.newrelic.com/infrastructure_agent/linux/zypp/sles/12/x86_64/newrelic-infra.repo
# リポジトリの更新
sudo zypper refresh
エージェントのインストール
# Infrastructure Agentのインストール
sudo zypper install newrelic-infra
# サービスの自動起動設定
sudo systemctl enable newrelic-infra
設定ファイルの作成
基本設定の作成
インストールが完了したら、設定ファイルを作成してライセンスキーを設定します。
# 設定ファイルの作成
sudo tee /etc/newrelic-infra.yml > /dev/null <<EOF
license_key: YOUR_LICENSE_KEY
display_name: $(hostname)
verbose: 0
EOF
ライセンスキーの部分は、実際のNew Relicライセンスキーに置き換えてください。
詳細設定オプション
より詳細な設定が必要な場合は、以下のような項目を追加できます。
# /etc/newrelic-infra.yml
license_key: YOUR_LICENSE_KEY
display_name: production-web-01
verbose: 1
# プロキシ設定(必要な場合)
proxy: http://proxy.company.com:8080
# カスタム属性の追加
custom_attributes:
environment: production
team: backend
location: tokyo
# ログファイルの設定
log_file: /var/log/newrelic-infra/newrelic-infra.log
log_level: info
# メトリクス収集間隔の調整
metrics_process_sample_rate: 20
metrics_storage_sample_rate: 20
metrics_network_sample_rate: 10
サービスの起動と確認
エージェントの起動
設定が完了したら、Infrastructure Agentサービスを起動します。
# サービスの起動
sudo systemctl start newrelic-infra
# サービス状態の確認
sudo systemctl status newrelic-infra
# ログの確認
sudo journalctl -u newrelic-infra -f
動作確認
エージェントが正常に動作していることを確認するために、以下の方法を使用できます。
# プロセスの確認
ps aux | grep newrelic-infra
# ネットワーク接続の確認
sudo netstat -tulpn | grep newrelic
# ログファイルの確認
sudo tail -f /var/log/newrelic-infra/newrelic-infra.log
正常に動作している場合、数分後にNew Relicダッシュボードでホストの情報が表示されるようになります。
トラブルシューティング
一般的な問題と解決方法
エージェントが起動しない場合
- ライセンスキーが正しく設定されているか確認
- ネットワーク接続(HTTPS 443ポート)が利用可能か確認
- 設定ファイルの構文エラーがないか確認
データが表示されない場合
- エージェントのログでエラーメッセージを確認
- ファイアウォール設定でHTTPS通信が許可されているか確認
- プロキシ環境の場合、適切なプロキシ設定が行われているか確認
ログレベルの調整
問題の詳細を調査するために、ログレベルを調整できます。
# /etc/newrelic-infra.yml
verbose: 1
log_level: debug
設定変更後は、サービスを再起動してください。
sudo systemctl restart newrelic-infra
手動でのアンインストール
必要に応じて、Infrastructure Agentを完全にアンインストールできます。
# サービスの停止
sudo systemctl stop newrelic-infra
sudo systemctl disable newrelic-infra
# パッケージの削除(Ubuntu/Debian)
sudo apt-get remove newrelic-infra
# パッケージの削除(CentOS/RHEL)
sudo yum remove newrelic-infra
# 設定ファイルの削除
sudo rm -f /etc/newrelic-infra.yml
sudo rm -rf /var/log/newrelic-infra/
セキュリティ考慮事項
ファイアウォール設定
Infrastructure Agentは、New Relicプラットフォームとの通信にHTTPS(443ポート)を使用します。ファイアウォール設定で、このポートへのアウトバウンド通信を許可する必要があります。
権限管理
エージェントは、システムメトリクスを収集するために特定の権限が必要です。パッケージインストール時に適切なユーザーとグループが作成されるため、手動での権限変更は通常不要です。
機密データの保護
設定ファイルにライセンスキーが含まれるため、適切なファイル権限を設定して保護してください。
# 設定ファイルの権限設定
sudo chmod 600 /etc/newrelic-infra.yml
sudo chown root:root /etc/newrelic-infra.yml
まとめ
Linux環境でのNew Relic Infrastructure Agent導入は、パッケージマネージャーを使用することで効率的に実行できます。適切なリポジトリの設定、ライセンスキーの配置、サービス起動の確認という基本的な手順を踏むことで、安定したインフラ監視環境を構築できます。
導入後は定期的なログ確認とアップデート適用により、継続的な監視品質の維持が可能です。次回は、Windows環境での導入手順について詳しく解説します。
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