Datadog入門 第9部 - 運用の基本とコスト管理
Datadogを導入して基本的な監視ができたら、次は日常的な運用で気をつけたいポイントを学んでいきましょう。この記事では、コスト管理の基本や、効果的な運用方法について分かりやすく説明します。Datadogを長期間使い続けるための基本的な知識を身につけましょう。
9.1 コスト管理の基本
Datadogの料金体系
Datadogを使い続けるためには、どのような料金体系になっているかを理解することが大切です。コストを適切に管理するための基本的な考え方を学んでいきましょう。
Datadogの主な料金項目:
- Infrastructure Monitoring: 監視するサーバー数に応じて料金が発生
- APM: アプリケーションのトレース数に応じて料金が発生
- Logs Management: 収集するログの量に応じて料金が発生
- RUM: ユーザーセッション数に応じて料金が発生
コスト最適化のポイント
コスト最適化の主なアプローチ:
- メトリクス最適化: 不要なタグやメトリクスの削減(20-30%のコスト削減可能)
- ログサンプリング: 重要度に応じたログ収集(40-60%のコスト削減可能)
- APM最適化: トレースのサンプリング率調整(25-40%のコスト削減可能)
ログ管理のコスト最適化
ログの量を管理することで、Datadogのコストを大幅に削減できます。重要なログとそうでないログを区別して、適切な収集率を設定しましょう。
ログサンプリングの基本的な考え方
- エラーログ: 100%収集(問題の特定に重要)
- 警告ログ: 50%程度収集
- 情報ログ: 10%程度収集
- デバッグログ: 1%程度収集(開発環境のみ)
ログレベル別の推奨サンプリング率:
yaml
# ログサンプリングの基本設定
logs_config:
processing_rules:
- pattern: '"level".*"ERROR"'
sampling_rate: 1.0 # エラーログは100%保持
- pattern: '"level".*"INFO"'
sampling_rate: 0.1 # INFOログは10%のみ
コスト監視の基本
Datadogの使用量とコストを定期的に確認することで、予期しない料金の発生を防げます。
コスト監視のポイント
- 月次のコスト推移を確認
- どの機能が最もコストを消費しているか把握
- 予算を設定してアラートを受け取る
9.2 効果的な運用方法
日常的なメンテナンス
Datadogを効率的に運用するための日常的なメンテナンス作業:
週次の確認事項
- 新しいアラートの状況確認
- ダッシュボードの表示内容チェック
- コスト使用量の簡単な確認
月次の確認事項
- メトリクスとログの使用量レビュー
- 不要になったダッシュボードやアラートの整理
- チームでの利用状況の確認
チームでの運用ルール
複数人でDatadogを使う場合の基本的なルール:
命名規則の統一
- ダッシュボード名:
[チーム名] - [用途]
- アラート名:
[サービス名] - [監視項目]
- タグの統一:
env:production
,service:web-api
など
権限管理
- 本番環境の設定変更は管理者のみ
- 開発環境は開発者が自由に設定可能
- ダッシュボード共有の範囲を明確化
トラブル対応のベストプラクティス
アラートが発生した際の基本的な対応手順:
- 即座の確認: アラートの内容と影響範囲を把握
- 状況判断: 緊急度に応じて対応の優先度を決定
- 対応実行: 必要に応じて復旧作業を実施
- 記録と改善: 対応内容を記録し、今後の改善点を検討
9.3 運用の継続的改善
パフォーマンス向上の基本
Datadogの監視体制を継続的に改善するポイント:
監視の見直し
- 本当に必要なメトリクスのみ収集
- アラートの精度向上(誤検知の削減)
- ダッシュボードの使いやすさ改善
定期的なレビュー
- 四半期ごとの監視設定見直し
- チームでの振り返り会議
- 新しい機能の検討と導入
セキュリティとガバナンス
Datadogを安全に運用するための基本事項:
アクセス管理
- 必要最小限の権限付与
- 定期的な権限見直し
- 退職者のアクセス権限削除
データ保護
- 機密情報のログ出力回避
- 適切なデータ保持期間設定
- コンプライアンス要件の確認
まとめ
この記事では、Datadogの日常的な運用で押さえておきたい基本的なポイントを紹介しました。
重要なポイント
- コスト管理はログのサンプリング設定が特に効果的
- チーム運用では命名規則と権限管理が重要
- 定期的な見直しで継続的に改善を図る
次のステップ
Datadogの基本的な運用ができるようになったら、より高度な機能や自動化の検討に進むことで、さらに効率的な監視体制を構築できます。
まずは今回紹介した基本的な運用方法から始めて、徐々にDatadogを活用できる範囲を広げていきましょう。