Datadog入門 第10部 - よくあるトラブルと対処法

Datadogを使っていると、時には思うように動作しないことがあります。この記事では、初心者が遭遇しやすいトラブルの解決方法と、問題を未然に防ぐための基本的な知識を紹介します。困った時の参考にしてください。

10.1 よくあるトラブルと解決方法

データが表示されない問題

Datadogでデータが表示されない時の基本的なチェックポイント:

1. Agent の動作確認

まずはDatadog Agentが正常に動作しているかを確認します。

bash
# Agentの状態確認
sudo datadog-agent status

# Agentの再起動
sudo systemctl restart datadog-agent

2. 接続の確認

  • インターネット接続ができているか
  • ファイアウォールでDatadogへの通信が遮断されていないか
  • API キーが正しく設定されているか

3. 設定の確認

  • datadog.yaml の設定内容に間違いがないか
  • ログファイルにエラーメッセージが出力されていないか

メトリクスが収集されない

メトリクスが期待通りに収集されない場合:

基本的なチェック項目

  • 監視対象のサービスが実際に稼働しているか
  • インテグレーションの設定が正しいか
  • タグの設定に間違いがないか

よくある設定ミス

  • サービス名やポート番号の間違い
  • 認証情報(ユーザー名、パスワード)の間違い
  • パスの指定間違い

ダッシュボードでグラフが表示されない

ダッシュボード上でグラフが表示されない場合の対処法:

1. 時間範囲の確認

  • 表示する時間範囲にデータが存在するか確認
  • 適切な時間範囲に変更してみる

2. クエリの確認

  • メトリクス名が正しいか確認
  • タグの条件が適切か確認

3. 権限の確認

  • 該当のダッシュボードを見る権限があるか確認

10.2 アラートの問題対応

アラートが届かない

アラート通知が届かない時の確認事項:

通知設定の確認

  • 通知先のメールアドレスやSlack チャンネルが正しいか
  • 通知条件(閾値、時間条件)が適切か
  • アラート自体が有効になっているか

よくある問題

  • 通知先のメールアドレスが間違っている
  • Slack の連携設定が正しくない
  • アラート条件が厳しすぎて発火しない

誤検知が多い

アラートの誤検知を減らす方法:

閾値の調整

  • 過去のデータを確認して適切な閾値を設定
  • 段階的にアラート条件を設定(警告→危険)

除外条件の設定

  • メンテナンス時間の除外
  • 既知の定期的な変動の考慮
yaml
# アラート設定の例
alert_conditions:
  warning: 80    # 80%で警告
  critical: 90   # 90%で危険
  evaluation_window: "5m"  # 5分間継続で判定

10.3 パフォーマンス問題の対処

ダッシュボードの表示が遅い

ダッシュボードの表示が遅い時の改善方法:

データ量の削減

  • 表示期間を短くする
  • 不要なメトリクスを削除する
  • グラフの数を減らす

クエリの最適化

  • 複雑な計算式を避ける
  • 適切なタグフィルターを使用
  • データの集約レベルを調整

Agent の負荷が高い

Datadog Agentの負荷が高い場合の対策:

設定の見直し

  • 収集間隔の調整
  • 不要なインテグレーションの無効化
  • ログ収集の最適化

リソースの調整

  • Agentに割り当てるメモリ量の調整
  • CPU使用量の制限設定

10.4 よくある設定間違い

API キーの問題

API キーに関するよくある問題:

  • API キーの入力間違い
  • 古いAPI キーを使用している
  • API キーの権限不足

確認方法

bash
# API キーのテスト
curl -X GET "https://api.datadoghq.com/api/v1/validate" \
  -H "DD-API-KEY: <your-api-key>"

インテグレーション設定のミス

インテグレーション設定でよくある間違い:

  • 設定ファイルの場所が間違っている
  • 設定ファイルの形式(YAML)が正しくない
  • 必要な権限が付与されていない

基本的な設定例

yaml
# 例:MySQL インテグレーション
instances:
  - host: localhost
    port: 3306
    user: datadog
    pass: <password>

10.5 問題を未然に防ぐ方法

定期的な確認作業

問題を早期発見するための定期確認:

週次確認

  • Agent の稼働状況確認
  • アラートの発生状況確認
  • ダッシュボードの表示確認

月次確認

  • 設定内容の見直し
  • 不要になった監視項目の削除
  • 新しい監視要件の追加検討

監視の監視

Datadog 自体の監視も重要です:

監視すべき項目

  • Agent の稼働状況
  • データ送信の成功率
  • API の応答時間

ログの活用

問題の早期発見にはログの確認が重要:

確認すべきログ

  • Datadog Agent のログ
  • アプリケーションのエラーログ
  • システムログ

10.6 困った時の情報収集

Datadog 公式リソース

問題解決に役立つ公式リソース:

  • 公式ドキュメント: 最新の設定方法や機能説明
  • ステータスページ: サービス障害情報
  • サポート: 技術的な問題の相談

コミュニティリソース

  • Stack Overflow: 技術的な質問
  • GitHub Issues: Agent やインテグレーションの問題
  • Datadog Community: ユーザー同士の情報交換

問題の報告方法

サポートに問題を報告する時の基本的な情報:

  • 発生している症状の詳細
  • Agent のバージョン
  • OS とバージョン
  • 設定ファイルの内容
  • エラーログ

まとめ

この記事では、Datadogでよくあるトラブルの対処法を紹介しました。

重要なポイント

  • 問題が発生したらまず基本的な確認から始める
  • エラーログの確認は問題解決の第一歩
  • 定期的な確認で問題を未然に防ぐ
  • 困った時は公式ドキュメントや コミュニティを活用

次のステップ

基本的なトラブル対応ができるようになったら、より高度な監視設定や自動化の検討に進むことで、さらに安定したDatadog 運用を実現できます。

まずは今回紹介した基本的な対処法を覚えて、問題が発生した時に慌てずに対応できるようになりましょう。