Amazon Managed Service for Prometheus (AMP) とは? ​

コンテナ環境、特に Kubernetes のモニタリングにおいて事実上の標準となっているのが Prometheus です。 しかし、大規模な Prometheus 環境を自前で運用・スケーリングさせるには多大な労力が必要です。

Amazon Managed Service for Prometheus (AMP) は、この課題を解決するための、AWS が提供するフルマネージドな Prometheus 互換モニタリングサービスです。

この記事では、AMP の特徴、メリット、そしてデータ収集のアーキテクチャについて解説します。

1. AMP の主な特徴 ​

完全マネージド型 (Serverless) ​

AMP はサーバーレスアーキテクチャを採用しており、インフラの管理やパッチ適用などは一切不要です。 Prometheus サーバーのスケーリングやストレージの管理から解放され、モニタリングデータの分析に集中できます。

自動スケーリング ​

コンテナワークロードの増減に合わせて、インジェスト(取り込み)、ストレージ、クエリの容量が自動的に調整されます。 大規模なスパイクが発生しても、一貫したクエリ応答時間を維持するように設計されています。

高可用性と堅牢なセキュリティ ​

データは複数のアベイラビリティーゾーン (AZ) にまたがって複製され、高い可用性を実現しています。 また、VPC エンドポイントを介したセキュアな通信や、AWS IAM による認証・認可が統合されているため、セキュリティ要件の厳しいエンタープライズ環境でも安心して利用できます。

2. なぜ AMP を選ぶのか? (メリット) ​

自前で Prometheus を運用する場合と比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 運用負荷の削減: Prometheus サーバーの管理、TSDB のディスク容量管理、バックアップなどが不要になります。
  • コスト効率: 実際に使用したメトリクスの取り込み量とストレージ、クエリ実行時間に基づく従量課金制です。大規模なクラスターを常時稼働させる必要がなくなります。
  • 長期保存: デフォルトで 150 日間のデータ保持が可能で、最大で 1095日 (3年) まで拡張設定が可能です。

3. データ収集のアーキテクチャ (Ingest Methods) ​

AMP へのメトリクス送信(Ingest)には、主に2つの方法があります。

AWS Managed Collector (エージェントレス) ​

Amazon EKS クラスター向けに提供されている、完全マネージドなエージェントレススクレイパーです。

  • クラスター内にエージェントをインストール・管理する必要がありません。
  • EKS コンソールや API から簡単な設定を行うだけで、自動的にクラスター内の Prometheus 互換エンドポイントを検出し、メトリクスを収集して AMP に送信します。

Customer Managed Collector (自前管理) ​

従来通り、ユーザー自身が収集エージェントを管理する方法です。より細かい制御が必要な場合や、ECS/EC2 環境で使用されます。

  • AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT): AWS が推奨する収集方法の一つです。ADOT Collector をサイドカーやデーモンセットとして配置し、データを収集して AMP へ転送します。
  • Prometheus Server (Agent Mode): 既存の Prometheus サーバーを Agent モードで動作させ、remote_write 機能を使ってデータを AMP に転送します。

4. 可視化とアラート ​

収集したデータは、Prometheus 互換のクエリ言語 PromQL を使って分析できます。

  • 可視化: Amazon Managed Grafana (AMG) や、自前の Grafana サーバーからデータソースとして AMP を追加することで、ダッシュボードを作成できます。
  • アラート: AMP 自体に「Alert Manager」の機能が統合されており、アラート・ルールを設定して SNS (Simple Notification Service) 等へ通知を送ることが可能です。

まとめ ​

Amazon Managed Service for Prometheus は、EKS を中心としたコンテナ環境の監視において、スケーラビリティと運用負荷の課題を解決する強力なソリューションです。 特に「Prometheus の運用に疲れた」「データ量が増えてサーバーが落ちる」といった課題をお持ちの場合は、移行を検討する価値が十分にあります。

AWS Distro for OpenTelemetry (ADOT) や Amazon Managed Grafana と組み合わせることで、AWS 上で最強のオープンソースベース監視基盤を構築できます。